映画館があった頃

 昭和を半分生きた自分の世代がギリギリ長門市に映画館があったことを覚えているか、親や兄姉の話で思い出すかの世代だろう。

昭和31年の長門市(正明市)内の映画館の上映記事(宣伝)だが戦後約10年が経った頃の正明市の気配をうかがえる。子供の頃よく耳にしていた「近松座」と「長門映劇」は入った記憶はないが場所は凡そ覚えている。仙崎の「仙竜館」や「仙崎座」は名前こそ聞いたことはあるが何処にあったのか知らない。

上映タイトルを見ると怪し気なものが多いなか「帰らざる河」や「太陽の季節」は正統派(当時の人気作品)だと思うが「北極物語」は聞いたこともない。調べてみると当時のソ連の映画らしく北極海に生息する生物を追ったドキュメンタリーのようだ。

よく見ると映画館同士でフィルムを掛け持ちして上映していることがうかがえる。そして映画館ごとの系列?も見えてくる。

映画館の最盛期とされる昭和35年は全国に7457軒あったとされるが、地方の映画館は元々が芝居小屋であったり酒蔵などを再利用されていたことが多かったようでわざわざ映画館を新築することは少なかったと何かの記事で読んだことがある。

映画館ではないかもしれないが昭和35年頃には野波瀬でも旧酒蔵で映画の上映があったり、豊原には「豊原会館」という映画館?もあった。俵山にも湯町に「俵山映劇」という映画館があったようですべて映画館數がピークを迎えたころのことでそれ以降は廃れていった。

今現在は長門市には映画館は皆無状態だが「ルネッサながと」に偶に映画を見に行く程度となった。自分的には1970年代後半には結構足を運んでいたがこのころは生活の拠点が都会だったことが大きい。

近年地方の映画館はコロナ禍の影響にネット配信も加担して絶滅寸前となっている。今年の2月だったか山口市のYCAMシネマに行って、観客は自分を含めてほぼ前期高齢者?だったように思う。ゆったりと鑑賞できたことは満足だったが上映が終わって照明が点いた瞬間に時代の変化と自分の年齢を感じてしまった。(上映された映画のジャンルにもよるが・・・)

YCAM CINEMA

色褪せた古い一枚の上映記事から色々なことを思い出してしまった。


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