三隅民謡「扇山から」

三隅の町は東西及び南を高峻な山に囲まれており「扇山から」の歌詞のとおり冬場は東端の扇山(514m)から朝の陽光がさしてくる。

この「扇山」は別名「高畑山」または「奥大里山」とも云い、大里地区の背になり萩市の木間(こま)地区と接している。

扇山の位置図

2017年12月23日撮影
扇山が奇麗に見渡せる三ノ瀬橋からの光景。
2016年10月09日撮影


「扇山から」歌詞
歌詞を自分なりに解説してみよう。

[一番]扇山から日が昇ることを唄っているが、それが見えるのは上中小野より上の地区なのだが、蜜柑の香りと登りアユを情景に出しているところを考えるとやはり上中小野から宗頭辺りに向かう旧道の三隅川沿いを唄っていると思われる。畠中の辺りであってほしいと個人的には思う。

[二番]貴女は湯免の育ちだが、自分は山の育ちで杣人(山師か木こり)であることでなかなか会えない情景が浮かんでくる。
寂しさを紛らわすのに樫の丸太を抱いて寝ていると言っているわけでちょっと色っぽい表現をしているところが実に良い。林業で栄えた三隅町を伝えたともとれる見事な歌詞。

[三番]鷗(カモメ)の鳴く声に愛しい娘の声を連想している。袖の湊に雨が降っている情景が歌われているのだが「袖の湊」とは現在の沢江の辺りのことで、ひょっとしたら村田清風宅の「三隅山荘」から仙崎湾を見た情景を表しているのかもしれない。過去には海岸沿いに松林があったことも想像できる歌詞となっている。

[四番]左が幸島で右が松島ということは野波瀬浦の漁港から、又は室生の漁港から穏やかな月夜に伝馬船(てんません)で漕ぎ出でる情景が歌われている。なんとも情緒豊かな歌詞だ。

本当に後世に残すべき素晴らしい唄だ。


昭和50年の暮れに上の広報の切り取り記事のとおり「扇山から」と「湯免小唄」のレコードが三隅町役場で売られていたようだ。
A面が「扇山から」でB面が「湯免小唄」となっている1枚のレコードと思う。日本コロムビアで制作発売された貴重なレコードだ。
たぶん制作当時(昭和31年の頃か?)のストックと思われるが昭和50年(CDが未だない時代)の頃に78回転が聴けるレコードプレーヤーがどれほど残っていただろうか?

[参考]
三隅民謡 扇山から
作詞: 白藤孝亮
作曲: 平川喜敬
補佐編曲: 船村徹
唄: 霧島昇・花村菊江

コメント

このブログの人気の投稿

住友セメントのベルトコンベア

山口ニュージーランド村の記憶

山口福祉専門学校の桜